アワード・審査

UNKNOWN ASIA 2025 にレビュアーとして参加しました

はじめに

今年も大阪で開催されたアートフェア「UNKNOWN ASIA 2025」に、レビュアーとして参加しました。

2021年から「UNKNOWN ASIA」に関わらせていただいていて、今年も会場へ向かう道すがら「どんな作品や作家に出会えるだろう」とワクワクしていました。

普段はギャラリーやブランドとの企画が中心ですが、  今回は「レビュアー」として、出展作家のみなさんの作品とじっくり向き合う立場。  

せっかくなので、自分がどんな視点で作品を見て、「水野智弘賞」をどなたにお贈りしたのかを中心に、振り返ってみたいと思います。

UNKNOWN ASIAとは?

UNKNOWN ASIAは日本をはじめ、アジア各国から集まったアーティストが自分のブースを構え、作品を直接プレゼンテーションするアートフェアです。

2015年に始動し、10周年を迎えた2024年までに1,600組を超えるアーティストが参加しており、西日本最大級のスケールで開催されるフェアとして認知も高まっています。

レビュアーとしての参加と、作品を見る基準

今回、自分はレビュアーとして参加し、  何十名もの作家さんのブースを拝見しました。

作品を見るときに、特に意識していたポイントは大きく3つです。

1. 先駆性・独自性があるか  

2. 作品の世界観が「言葉なし」でも伝わるか 

3. 今後、ギャラリーやブランドと一緒にプロジェクトを組むイメージが湧くか 

UNKNOWN ASIAには、すでに商業案件を多く経験している方から、  これから羽ばたいていきそうな若い作家さんまで、本当に幅広い層が出展しています。  

その中から「水野智弘賞」を1名に絞るのは、正直かなり難しい作業でした。

水野智弘賞はatelier minori(アトリエ ミノリ)さんにお贈りしました

UNKNOWN ASIA 2025では、数十名の出展作家のみなさんの中から、都市や建築をモチーフに制作するユニット「atelier minori(アトリエ ミノリ)」さんを『水野智弘賞』として選ばせていただきました。

atelier minoriさんを代表する作品シリーズ「machi-machi connectシリーズ」は「街はつながり、ひろがり、変化する」をコンセプトとする新しいタイプのアクリル絵画作品です。

また「machi-machi connectシリーズ」は鑑賞者が作品を購入することで、展示されている街に変化が起こるプロジェクト型のアート作品でもあります。

展示台から作品を選んで購入する(=その区画のオーナーになる)と、その空いた場所に新たな作品が補充され、街は入れ替わっていきます。2024年8月の作品発表から1年、現在オーナーは50名を超えているとの事です。

作品を販売して終わりとせず、体験を拡張する仕組みを取り入れている点に、新しい鑑賞・所有の在り方を示す意欲を感じました。リピーターにつながる確かな魅力を持つ作品だと感じています。

「この人と一緒にプロジェクトを組んだら、きっと面白いことができる」と  具体的なイメージが浮かんだのが決め手です。

atelier minoriさんのプロフィール

都市や建築をモチーフに制作を行う、イラストレーター minori とデザイナー 竹岡寛文 によるユニット。

[minori]作画・制作担当

大学・大学院で環境・建築デザインを学び、修了後グラフィックデザインに従事。

2012年よりフリーランス。デザイナー/イラストレーター/ペインターとして活動。

[竹岡寛文]デザイン担当

大学・大学院で環境・建築デザインを学び、修了後デザイン事務所勤務。

2014年に独立し、2016年に株式会社タケコマイを設立、代表取締役。

代表作の「machi-machi connectシリーズ」作品について分かりやすく動画にされています。

ご覧ください。

今後ご一緒してみたいこと

賞をお贈りしたからには、  単発で終わらせず、今後何かしらご一緒できればと思っています。

・N ARTとして、展示やプロジェクトを企画する 

・作風的に、市や街に関わるお仕事を共に取り組む

など、いくつか構想レベルのアイデアがあるので、  ここから少しずつ具体化していければ嬉しいです。

その他、気になった作家のみなさん

「水野智弘賞」は1名ですが、  会場には賞とは別に「この人と話してみたい」と感じた作家さんがたくさんいました。

ここではお一人ずつ詳しくは書きませんが、

・コンセプトが強かった方  

・プロダクト寄りの発想が面白かった方  

など、「ジャンルは違うけれど刺激を受けた」方のブースも多く、  自分にとっても良い勉強になりました。

その中から特に印象に残った方を一部ご紹介します。(順不同)

7gallery(セブンギャラリー)時代にお仕事をご一緒したイラストレーターのおかやまたかとしさん。

アートディレクターの宍戸克成さんとフォトグラファーの長井諒平さんのクリエイティブ・ユニットです。

宍戸克成さんとも7gallery時代にお仕事をご一緒しました。

イラストレーターの三浦由美子さん

作品と立体が連動していて、セットで飾ってみたくなりますね。

ペインターのRyoji Nakanoさん

画力があって、壁画を手掛けてもカッコイイと思います。

わんぱく中年とのまるさん

何度も作品を拝見してきましたが、個人的に今回が一番完成度が高く、素敵でした。

UNKNOWN ASIAから持ち帰ったこと

UNKNOWN ASIAは、作家とレビュアー、ギャラリー、ブランドが出会う「ハブ」のような場所だと改めて感じました。

レビュアーとして参加したことで、作家さんが何を大事にしながら活動しているのか、現場でどんなことに悩んでいるのかを直接聞けたのも大きな収穫です。

この経験は、N ARTとして企画を組むときにも必ず活きてくると思います。

おわりに ─ N ARTとしてできること

最後に少しだけ、N ARTとしての活動について。

N ARTでは、今回のUNKNOWN ASIAのように「アーティストと場所/ブランドをつなぐ」役割を引き続き担っていきたいと考えています。

・展示やイベントの企画  

・ショップやカフェのアート導入  

・ブランドのビジュアル制作やコラボレーション

などに興味をお持ちの方がいれば、  CONTACTページからお気軽にご相談ください。

今回「水野智弘賞」をお贈りしたatelier minoriさんとのプロジェクトも、具体的な話が進んだら、またブログやSNSでお知らせします。

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